2020年4月20日に、ニューヨーク・マーカンタイル取引所で、WTI原油先物価格が1バレル=マイナス37.63ドルで取引を終えた。最安値は1バレル=40.32ドルまで値を下げた。
といっても、これはアメリカでの話になります。原油先物市場で、受け渡し期間が最も短い期近物である5月限の価格がマイナスになりました。
お金を払って原油を買ってもらうので、1バレルの値段がマイナスになってしまいました。これは原油先物市場の歴史で初めてのことになります。
ではいったいなぜ原油価格がマイナスになったのでしょうか?
今、世界中で新型コロナウイルスが蔓延しているのはご存知でしょう。都市封鎖によって、経済活動は止まり、飛行機も車も動かない日々が続いています。飛行機も車も原油から精製される燃料を使いますが、動かないので燃料が消費されません。この輸送用エネルギーが消費されずに、在庫として蓄えられているため需要と供給のバランスが崩れてしまいました。
原油の現物受け渡しが行われるオクラホマ州クッシング地区は貯蔵能力は限界に近付いており、原油を買っても貯蔵するスペースが少なくなってきています。売り手側は原油価格が安くても在庫を捌きたいが、買い手側は原油を貯蔵するスペースがない。
だったらシェールオイルなど生産停止すればいいのではないかと思いますが、一度生産停止にすると、再稼働した時の効率を考えると生産停止もできない。なのでどんなに貯蔵スペースがなくても、原油価格が安くても生産し続けなければなりません。
原油を生産し続けなければいけない理由として、新型コロナウイルスの終息がいつになるのか見通せないため、急速に終息した場合、今度は需要に対して供給が追い付かないことになります。
この原油価格のマイナスはかなりのインパクトになっており、北海ブレント原油、中東産ドバイ原油の期近物などはまだマイナスにはなってないが、下落が続いています。
6月限の価格は20ドル台、12月限の価格は30ドル台となっており、産油国の減産もあって年の後半には原油需要が回復する見方があります。
いづれにしろ、株式市場の記録的な下落、原油価格のマイナスなど、新型コロナウイルスの影響は世界経済に大きな影響を与え続けています。