塩と聞いたら体に悪そうだな?と思ってる人が多いと思います。厚生労働省によると1日の塩分摂取量の目標値は、男性8グラム、女性7グラムとされています。WHO(世界保健機関)の目標値では、なんと1日5グラム以下とされています。しかし日本人の平均摂取量はおおよそ10グラムとなっていて、WHOの目標値の2倍の塩分を取っていることになります。塩分の取りすぎと言ったら、高血圧や腎臓病や胃がんになるといったイメージが強いのも事実です。
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前にNHKスペシャル「食の起源」の塩のテーマでやっていましたが、アフリカのマサイ族などは、家畜のミルクを主食としており、ミルクに含まれるわずかな塩分でも生きることができます。マサイ族の塩分摂取量はわずか1グラム程とのことです。

人間は元々わずかな塩で生きることは可能ですが、農耕を始めたことから体内の塩(ナトリウム)が不足し始め塩を精製するようになったと解説していました。しかし体内のメカニズムから塩と感じると美味しいと脳が感じてしまい、もっと塩を取りたいと欲に負けてしまいどんどん塩分摂取量が増えてしまいました。麻薬を1度始めるとやめられないのと同じ原理ですね。

人間はただ生きるために食べ物を食べるだけではなく、より美味しく食べるために塩は欠かせない存在となっています。なので古代の人たちも知恵を絞って塩の精製をしました。

動物も塩分は必要で、本能なのか、意識的に塩分を含んだ土壌を舐めて塩分を摂取しています。

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話がちょっと逸れましたが、塩と言ったら食卓塩や伯方の塩を思い浮かべる人が多いと思います。これらの塩は安いので使っている人も多いと思いますが裏に書いてある成分をよく見てください。
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塩化ナトリウム99%以上と書かれています。というのも、イオン交換膜法といった技術で大量に作り出せるために安くすることができます。

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塩の主成分である塩化ナトリウムは化学式でNaClと表します。Na(ナトリウム)はプラスの電荷を持ち、Cl(塩素)はマイナスの電荷を持ちます。陰イオンだけを通す膜と陽イオンだけを通す幕を交互に並べ、それに電気を流すと濃い塩水ができます。それを煮詰めるなりして塩ができるので大量に安く作ることが可能なのです。さらにこのイオン交換膜はNaとClを選択的に通すことになっているので、塩の成分のほとんどがNaCl(塩化ナトリウム)となっています。なので海水の溶け込んでいるマグネシウム・カルシウム・カリウムといったミネラルはほとんど含まれていません。なのでこれが俗に言った悪い塩になります。

しかし海水をそのまま煮詰めたり蒸発させたりした塩は、塩化ナトリウム以外にも
マグネシウム・カルシウム・カリウムといった海水の成分をそのまま取り込んでいるためミネラル豊富の塩が出来上がります。

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パッケージの裏に成分表示がされていますが、ナトリウム以外にもマグネシウム・カルシウム・カリウムが豊富に含まれていることがわかります。これが俗にいう良い塩になります。

悪い塩がなぜ体に悪いかというと、ナトリウムが多すぎるのです。ナトリウムが多すぎると、薄めるために水分を大量摂取し、血圧を上げ、腎臓などを働かせすぎるため病気になってしまいます。なのでナトリウム以外にもミネラルのバランスが良い塩を摂取すれば、そこまで塩を悪者にしなくてもいいです。

かなり前ですが、「ためしてガッテン」という番組でも、良い塩を普段から取っていれば、多少塩分摂取量がオーバーしても問題ないとのことです。しかし何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ですので、程々の摂取量にしてください。

良い塩は手間が掛かりますので値段もそれなりにします。気になる人は塩選びするときに裏の成分表を見てください。いろいろな塩を比べて、ミネラル豊富な塩を選べな間違いないでしょう。


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